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心理学ワールド 91号 常務理事会から 国際化と多様性の尊重 鈴木 華子 国際担当常務理事(立命館大学) | 日本心理学会

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Academic year: 2021

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46 国際化と多様性の尊重  COVID–19が世界的に大流行し始めてから, 早くも半年以上が過ぎました。最前線で対応さ れている方々に御礼申し上げると共に,コロナ 禍に影響を受けている皆さまに心よりお見舞い 申し上げます。また,心理学の視点からコロナ 禍を取り巻く状況の知見を増やし,人々の心に 寄り添い健康の促進に努められている会員の皆 さまに感謝申し上げます。  国際担当常務理事は,国際委員会,国際賞選 考委員会,男女共同参画委員会を担当していま す。今回は,その活動報告とともに国際化と多 様性の尊重について考えてみたいと思います。  国際委員会は,①三ヶ国シンポジウム,② ICP 記念事業,③留学生ネットワークの3つの 事業を柱として,世界の心理学界における日本 のプレゼンスを高めるとともに,連携強化に努 めています。韓国心理学会・中国心理学会・ 日本心理学会が毎年持ち回りで開催する三ヶ 国シンポジウムは,今年は開催が危ぶまれまし たが,今までの歴史を止めることなく近隣諸国 だからこそできる連携を強めるため,Web 開 催という形で実施されました。また,ICP2016 記念事業と留学生ネットワークも,このような 状況だからこその,若手育成と留学生支援の重 要性を痛感し,より活躍できる環境に寄与でき るよう努めています。2019年にはシンガポー ル心理学会と覚書を交わし,各国と締結してい る MOU(合意文書)は計14となりました。な かなか海外渡航ができず国際交流が難しい現状 ではありますが,各国の年次大会の Web 開催 は,海外渡航ができない会員も参加できる便利 さがあります。さらに,今年に入ってからは, 世界的なコロナ禍に対応するため,各国の心理 学会のリーダーたちと定期的なミーティングを 重ね,連携と協働の新しい形を探っています。 それぞれが国から出られない状況,そしてコロ ナ禍に立ち向かうという共通する目的が,世界 の心理学ワールドを近づけているように感じて います。  国際賞選考委員会は,長年にわたり優れた研 究業績をあげ国際的な心理学の発展に寄与した 心理学者,国際学会の設立・運営等により世界 の心理学に貢献した心理学者,国際的に高く評 価されている研究業績を持つ中堅・若手の研究 者を選定し,2020年度は特別賞1名,功労賞2 名,奨励賞4名を顕彰しました。  男女共同参画委員会では,主に男女共同参画 の推進による女性心理学者・研究者の活躍推 進,育児や介護にかかわるワークライフバラン スの啓蒙,ネットワーク構築による心理学者の 支援,そして,ジェンダーにかかわる問題の是 正に取り組んでいます。2019年の代議員選挙に おいては,ジェンダーバランスを考慮した投票 行動をお願いした結果,常務理事会を構成する 8名のうち,3名が女性となりました。代議員・ 理事会・常務理事会のジェンダー構成はまだ不 均衡はありますが,多様な背景を持つ人たちが 活躍できる学会作りを目指しています。  パンデミックとそれに伴う外出自粛は,世界 各地において,家庭内暴力の増加や男女の家事 負担の差異,弱者に対する差別等,潜在的に あった問題を浮き彫りにし,私たちに,新しい 日常と考え方の転換を迫りました。世界の心理 学会は繋がり一丸となって心理学の知を結集し て,未曾有の事態に立ち向かう方法を模索して います。心理学の真の国際化とは,知の一方通 行を強化することではなく,知を双方向・多方 向に移動させながら多様な知見と文脈を包摂的 に理解し発展させていくことです。近年では, かつての心理学研究の被験者は大きく偏り,世 界の人・人口の実情を反映していないとの批判 から欧米中心主義であった心理学が変わりつつ あります。海外の知をただ取り入れるのではな く,日本だからこそ生み出せた心理学の知見を 発信していくことが重要になってきています。  当たり前だと思っていた状況や構造に疑問を 呈していくことは,学問や社会の発展に繋がっ ていくことであり,これは国際化から見える男 女共同参画へのヒントでもあるのではないで しょうか。男女共同参画から始まった取り組み も,男女だけにとどまらない多様な背景を持つ 人たちの協働参画へと発展させていく局面に 来ています。心理学の総合学会である本学会か ら,国内外における多様性を理解し尊重し包摂 する土壌を作り,会員の皆様が安心して活動・ 活躍できる学会・学界・社会作りに貢献できる よう今後も努力して参ります。 (国際担当常務理事・立命館大学准教授 鈴木華子)

常務理事会から

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